【技術レポート】常温フッ素コーティングと未加工基材の撥水性比較試験

こんにちは、株式会社COMPASUです。

今回は、常温硬化型フッ素樹脂コーティングと、未加工基材の撥水性を比較する簡易テストを実施しましたので、レポートとしてご紹介します。

➤試験概要

本試験では、以下の2種類のサンプルに対して水滴を滴下し、その撥水状態(水滴の残留状態)を比較しました。

試験片①(コーティングなし):
SUS304-2B(t1*□100)

コーティング処理内容:
コーティング処理なし

試験片➁(コーティングあり):
SUS304-2B(t1*□100)

コーティング処理内容:
常温硬化型フッ素コーティング

➤試験プロセス

撥水性試験プロセス(SUS304-2B t1×□100)
0) 試験環境・共通条件
  • 室温 23±2°C、相対湿度 50±10%、無風/無粉塵に近い環境
  • 試験面は同一ロット・同一研磨方向を同一向きで使用(表面差を抑制)
  • 水:水道水
  • 水滴量:0.5-10µL

1) 前処理(両試験片共通)
  1. 脱脂清浄:中性洗剤で洗浄 → 水洗 → 無繊維ウエスで拭き取り
  2. 仕上げ拭き:アルコール(IPA等)で軽く拭取り → 乾燥(自然乾燥で可)
  3. 乾燥後、素手で触れずに保持

2) コーティング(試験片②のみ:高硬度+高密着フッ素樹脂)
  1. 塗布:無塵ウエス/刷毛で極薄均一にワイプ塗り(端から端へ一定速度)
  2. フラッシュオフ:5–10分(溶剤揮発待ちの目安)
  3. 硬化:常温 24時間放置
  4. 硬化後、軽く無塵ウエスでダスト除去のみ(磨きなし)

3) 残留状態・濡れ跡評価
  1. 試験片を水平に設置
  2. 水滴をそっと置く
  3. 滴下後60秒レンズを上からにして濡れ拡がり面積を撮影
  • 水滴を軽くティッシュで吸い取り、濡れ跡の残存(輪染みの有無・面積)を記録
  • 目視グレード:
    • A:跡なし/極小、B:薄い輪染み、C:明瞭な跡、D:広範囲残留

5) 転落角(ロールオフ)簡易評価
  1. 試験片をゆっくり傾斜(1–2°/秒程度)
  2. 水滴が転がり始めた状態を観察

6) 判定・期待傾向(参考)
  • 未コート(①):SUS304-2Bは一般に接触角≈70–85°、転落角大、濡れ跡残りやすい
  • 高硬度+高密着フッ素樹脂コート(②):接触角≥100°が目安、転落角小、濡れ跡少

まとめ

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写真左:フッ素コート処理| 写真右:コーティング未加工

本試験では、SUS304-2B基材(t1×□100)に対し、常温硬化型フッ素コーティングを処理した試験片と未処理試験片を比較しました。結果、コーティングなしの試験片では水滴が広がりやすく、表面に濡れ跡が残留しました。一方、コーティング処理ありの試験片では水滴が球状を保ち、大きな接触角を示すとともに、残留水分も少ないことが確認されました。これにより、コーティングが優れた撥水性を発現し、基材表面の防汚性や耐久性向上に寄与することが明確に示されました。


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