静電粉体塗装機とは?――フッ素樹脂コーティングにおけるキー装置
「静電粉体塗装機(Electrostatic Powder Coating Machine)」とは、粉末状の塗料を静電気の力で被塗物に吸着させる装置です。
液体塗料のように溶剤を使わず、粉体そのものを帯電させて吹き付けるため、塗料の飛散が少なく、均一な塗膜を形成しやすいという特長があります。
仕組みを簡単に説明すると、高電圧発生器が粉体に電気を帯びさせ、アース(接地)された被塗物に向かって粉体が引き寄せられ、付着した粉体を焼成炉で加熱することで、溶融・硬化して密着性の高い塗膜となります。
この方式は、フッ素樹脂コーティングのように耐熱・耐薬品・絶縁性・非粘着性を求められる用途に特に適しています。
粉体が電気的に引き寄せられるため、入り組んだ形状の部品でも比較的ムラの少ない仕上がりが得られます。
― 環境性・高機能性を両立する次世代表面処理 ―
静電粉体塗装は、環境性・安全性・高機能性を兼ね備えた“次世代型の表面処理技術”です。
🌿 環境への配慮
従来の液体塗装では、有機溶剤(VOC:揮発性有機化合物)を多く含み、作業環境や大気への影響が課題でした。
粉体塗装では溶剤を一切使用しないため、VOCを排出せず、回収した粉体も再利用可能。
廃棄物の発生を最小限に抑えるクリーンプロセスです。
⚙ 高機能な膜性能
フッ素樹脂粉体を用いた場合、塗膜は以下のような高性能を発揮します:
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非粘着性:異物付着を防止し、清掃や脱型が容易
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耐薬品性・耐食性:酸・アルカリ・溶剤に強く、腐食環境でも安定
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耐熱性:連続使用温度260℃前後にも耐える
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電気絶縁性:高電圧環境でも信頼性を確保
これらの特性により、化学装置・食品機器・半導体治具・電気絶縁部材など、幅広い産業分野で採用が進んでいます。
COMPASUでは、この静電粉体塗装機を応用し、フッ素樹脂による厚膜コーティング処理にも対応しています。
従来よりも高い耐久性・絶縁性を求める部品に対し、独自の焼成条件制御と粉体分散技術で安定した厚膜形成を実現しています。
静電粉体塗装機による高性能フッ素樹脂コーティング静電粉体塗装機が拓く新次元のコーティング技術
静電粉体塗装機を導入することで、フッ素樹脂(いわゆるテフロン™)コーティング加工に新たな次元の品質と効率をもたらします。粉体塗装は有機溶剤を一切使用しない環境に優しい塗装法であり、一度の塗布で厚みのある高性能な塗膜を形成できる点が大きなメリットです。弊社で採用させていただいた旭サナック社の最新モデルでは独自の「デュアル電界方式」により塗着効率と仕上がり品質を飛躍的に向上させます。厨房器具から医療機器部品、工業部品、お菓子焼き型、食品機械部品、半導体装置部品に至るまで、様々な製品へのフッ素樹脂コーティングにおいて、COMPASUはこの最先端技術を駆使した高品質な表面処理サービスを提供します。

電粉体塗装機によるフッ素樹脂コーティング施工の様子。高電圧帯電した
粉体塗料を金属製ワークに吸着させ、焼付けてコーティング膜を形成する。
静電粉体塗装機の技術的利点・特長と幅広い応用
旭サナック社の静電粉体塗装機は、高電圧によるコロナ放電で粉末塗料を帯電させ、金属製被塗物に静電気の力で付着させる方式です。特筆すべきは最新モデルに採用されたデュアル電界方式で、塗料粒子への効率的な帯電とフリーイオン抑制を同時に実現しました。その結果、従来機より低い電圧(例えば80kV)でも塗着効率が最大約10%向上し、過剰な静電反発を抑えて「肌荒れ」のない滑らかな塗膜仕上げを両立しています。高電圧発生装置の小型化も可能となり、特にハンドガン操作性が向上しました。さらに旭サナックは、複雑形状物への塗装ニーズに応える摩擦帯電式(トライボ)ガンもラインナップしており、入り組んだ部位への塗料の回り込み性や平滑な膜厚形成に優れています。これらの技術的工夫により、塗料使用量の削減(コスト低減)や作業性の向上、安定した膜厚確保による品質向上が期待できます。実際、「塗料使用量の削減と美麗な仕上げを両立」する粉体ガンとして高い市場評価を得ています。また粉体塗装そのものが溶剤フリーでVOC排出がなく環境対応に優れるため、脱炭素や作業者安全の面でも大きなメリットがあります。

メーカー同席のもと粉体塗装機実用に向けての試運転準備をしています。
まとめ
COMPASUがもたらす導入メリットと信頼の技術力
静電粉体塗装は、環境負荷を抑えながら高品質な被膜を形成できる、非常に優れた表面処理技術です。
しかし、実際の生産現場では「さらに厚い膜を安定して形成したい」「複雑形状や大型部品にも均一な塗装をしたい」といった課題が生じます。
特に、フッ素樹脂コーティングのように高温焼成が必要な粉体塗装では、
- 膜厚のコントロール
- 密着性の確保
- 熱変形への対策
など、専門的な技術対応が求められます。
COMPASUでは、これらの課題に応えるため、
温度制御システムや多層焼成プロセスを組み合わせた「厚膜粉体コーティング技術」を確立しました。
また、粉体塗装におけるメリットは以下の通りです。
- 高品質・高耐久のコーティング: 静電粉体塗装による均一厚膜コーティングで、製品の耐摩耗性・耐食性・非粘着性が飛躍的に向上し、製品寿命の延長に直結します。美麗な仕上がり品質により見栄えも良く、製品価値を高めます。
- 生産性向上とコスト削減: デュアル電界方式ガンによる塗着効率アップで塗料ロスを削減し、効率的な塗装が可能です。乾燥炉で一度に焼き付け硬化できる粉体塗装プロセスは作業工程を簡略化し、短納期対応にも貢献します。塗料使用量削減と省エネ効果でランニングコストの低減も実現します。
- 環境・安全対応: 溶剤を含まない粉体塗料の使用は作業者や環境への有害物質排出を大幅に低減します。また、作業時の粉体飛散や静電トラブルも抑制され、安全でクリーンな塗装工程を維持できます。
最新設備と熟練技術者によるノウハウを兼ね備えたCOMPASUだからこそ、これらメリットを最大限に引き出し、お客様の製品に最適なフッ素樹脂コーティングを提供できます。私たちは「短納期・高品質・高コストパフォーマンス」をモットーに、大手メーカーからも信頼される確かな技術力でお客様の生産性向上と事業発展に貢献します。静電粉体塗装機を駆使した高機能コーティングによって、耐久性と美しさを兼ね備えた表面処理を実現し、お客様製品の付加価値向上と未来志向のソリューション提供にこれからも努めてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。フッ素樹脂コーティング加工に関するご相談や質問がございましたら、ぜひお気軽に株式会社COMPASUまでお問い合わせください。専門スタッフが最適な技術提案でお応えし、信頼の加工技術で大切な製品の価値を高めます。

